仕事をしている机の目の前に数冊の本を置いている。
建築やデザイン本、旬な話題のことであったり、
次回歩こうと思っている旅の本だったり、そして昔からずっと大切にしている本も。
 
僕にとって本とは、まだ知らぬ世界を教えてくれる先生みたいな存在。
本に囲まれている時、なぜか?分からないけれど至福の時の一つ。
 
その中から図面を描く合間にふと手にした昔からある懐かしい本。
著者:星野道夫「旅をする木」。
エッセイが詰まったこの本の星野道夫さんの紡ぐ言葉一つ一つの美しさと
リズムとがなんとなく心地良く好きだ。そうなんだ、変わっていくことなんだ。
 

「旅をする木」星野道夫 " もうひとつの時間 " より。
 
「いつか、ある人にこんなことを聞かれたことがあるんだ。
 たとえば、こんな星空や泣けてくるような夕陽を一人で見ていたとするだろ。
 もし、愛する人がいたら、その美しさやその時の気持ちをどんなふうにつたえるかって?」
 
「写真を撮るか、もし絵がうまかったらキャンパスに描いてみせるか、
 いややっぱり言葉で伝えたらいいのかな」
 
「その人はこう言ったんだ。自分が変わってゆくことだって・・、
 その夕陽を見て感動して、自分が変わってゆくことだと思うって」
 
人の一生の中で、それぞれの時代に、自然はさまざまなメッセージを送っている。
この世へやって来たばかりの子どもへも、去ってゆこうとする老人にも、
同じ自然がそれぞれの物語を語りかけてくる。
 
まだ、幼かった頃、近所の原っぱで紙芝居を見終えた後、
夕ごはんに間に合うように走って帰った夕暮れの美しさは
今も忘れない。
 
あの頃、時間とか、自分をとりまく世界を、一体どんなふうに
感じていたんだろう。

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